みんなが幸せになる経済と社会のしくみを考えよう

資本主義に替わる理想的な社会システムと未来のビジョンを提示します

まえがき

 サブプライムローン問題(2007年)、リーマンショック(2008年)、その後の世界金融危機、低賃金労働、不安定労働、失業率の増加、貧富の差の拡大、膨らみ続ける財政赤字、毎年3万人を超える自殺者...。

 このように資本主義は様々な問題を抱えていて、資本主義という社会システムは永続可能(サスティナブル, Sustainable)な社会システムではなさそうだと多くの人が感じ始めています。あなたはどう思いますか? このように歪だらけの資本主義システムに修正を加えながら使い続けることは本当に可能なのでしょうか。
 私は資本主義社会が永続可能だとは考えていません。しかし、経済学者の話も、政治家の話も、資本主義の枠内の話で、経済成長が必要だとか、増税が必要だとかといった目の前の対症療法的な話ばかりで、資本主義の代替案を示す人は誰もいません。もし、資本主義が永続可能でないということが真実ならば、既存の経済政策は全て資本主義という沈みゆく運命の船の延命措置に過ぎません。そうであるならば、誰かが資本主義システムに替わる仕組みを提示しなければなりません。

 そんな混沌とした時代に、今までと全く異なる社会システムとして、バイオミメティック社会論が注目されはじめています。この新しい社会システムは資本主義の様々な問題を克服すると言われています。
 その中心となる思想はバイオミメティック経済論で、この経済論は互助経済論とも言われます。経済論というと難しいと思われ、敬遠されがちですが、この経済論は非常にシンプルで分かりやすく、高校生でも十分に理解できます。それは、難しい経済理論を平易に解説しているということではなく、その理論自体が非常にシンプルなのです。そのシンプルな理論をさらに分かりやすく解説していきますので、経済を全く勉強したことのない人にも容易に理解できます。

 今まで私はこの社会システム論を様々な人に直接お話してきました。その人々の反応は、「価値観が変わった!」、「未来が明るいと感じるようになった!」、「目からウロコが落ちたとはまさにこのことだ!」、「どうしてこんなことに今まで気づかなかったのか!」といった肯定的な感想がほとんどです。
 とにかく、誰も聞いたことがないような斬新なアイディアなのです。この書では、新しい社会システム論の概略とそれが実現するであろう社会の様相、さらにそういった社会をどのように実現するかという方法論について述べていきます。