みんなが幸せになる経済と社会のしくみを考えよう

資本主義に替わる理想的な社会システムと未来のビジョンを提示します

第六章 資本主義経済システムと生体社会システムの比較

 ここまででバイオミメティック社会システムが目指す社会の概要を掴んでいただけたのではないかと思います。何度も同じ内容が繰り返され、理解の早い人にとってはくどい説明であったかと思います。

 さらに生体社会論の理解を深めるために、資本主義と比較しながら、もし我が国がこの新しい社会システムに移行した場合、どのように私たちの生活は変わってくるかを考えてみましょう。


市場原理
[資本]  利益のために、企業は仕事を獲得し、顧客を獲得することを目指す。
経済学者が言うパイを増やすとは需要を増やし、市場を大きくすること。
企業は市場を奪い合う弱肉強食のギスギスした社会。
[生体]  社会に貢献するために、社会のニーズの一端を担うために、企業は仕事をする。
需要を増やす必要もないし、市場を大きくする必要もない。
企業は社会で必要とされる製品やサービスを分担しあう共存共栄の優しい社会。

お金に対する意識
[資本]  常にお金のことが頭から離れない。お金がなくなることが心配。お金をどう貯めようかと悩む。
行動を選択する際に、計算高く損か得かを判断して行動する傾向がある。
[生体]  お金のことはあまり気にしなくてもよくなり、有意義な人生を送ることに集中できる。

消費者との人間関係
[資本]  お客様は神様で、「お金を払ってやる」、「お前の会社の製品を買ってやる」という態度となりやすい。
理不尽なクレームも多い。人々は縦の関係になりがち。
[生体]  お金が万物の頂点に君臨するのではなく、製品やサービスの循環のための単なる道具。
商品やサービスを提供する側と消費者は対等な関係。商品とお金は同等なものどうしの交換。
ギブ・アンド・テイクの精神が自然に養われるので、互いに感謝しあう関係。横の関係。

就労形態
[資本]  管理職、正社員、非正規社員、パート、アルバイト、派遣、自営業など多様な雇用形態。
正社員は過度に守られ、風邪で1週間仕事を休んでも、有給休暇で対応できる。
非正規社員は過度に労働が不安定で、風邪で3日休んだら、もうその職はない。
年功序列的で、使えない上司がいたり、優秀な若手人材が埋もれたりする。
[生体]  終身雇用制度はなく、平等に職を保証されない。
社会保障の裏付けがしっかりしているため、職にしがみつく必要はない。
その企業の目的を達成するのに最もふさわしい人事が実現する。民主的人事の導入。

労働意欲
[資本]  仕事をしないと生活できないという強迫観念や義務感からの労働になりやすい。
社会貢献という意識ではなく、利潤追求、ノルマ達成、出世といった意識になりがち。
[生体]  自主的な社会の一端を担う生きがいとしての自発的な労働になりやすい。
生きるための仕方ない労働から、自発的な貢献を目的とした労働になりやすい。

労働時間
[資本]  無駄な競争が多く、無駄な労働も多いため、労働時間が長い。
経理に割く時間が膨大で、それには専門知識が必要。
[生体]  無駄な競争がなく、無駄な労働が少ないため、時間的にもゆとりのある生活ができる。
税は全て自動的に徴収される。口座が1つなので、取引が明確。

社会保障
[資本]  生活保護受給者が205万人を超えるという異常な状況。生活保護以下の生活を強いられている人も少なくない。
一旦生活保護を受給し始めると、そこから抜けられなくなるという状況。フリーターで働く方が損だというのが実状。
それに伴う財政負担の増加。
世代間、就労形態による不公平が激しく、年金の一元化は困難な様子。
様々な問題を抱えていて、誰にも先が見えない。
老後が心配なため、各人が老後の財産を貯め込み、景気が停滞しがちで、医療の格差も激しい。
[生体] ベーシックインカム(Basic Income、基礎所得)制度により、全ての国民が無条件で、最低限の生活に必要な収入を受け取ることができ、安心して暮らすことができる。
加えて働いた分だけの収入が加算される。
老後のお金を貯め込むことができない代わりに、それを国がまとめて全ての国民の医療費を負担する。
一人ひとりが貯め込むよりも、社会全体で貯めた方がずっと効率的。

各種保険
[資本]  民間の保険会社がしのぎを削り、保険料の支払いよりも、広告費、人件費、営業費にほとんどのお金が使われる。
加入者を増やすために、各社が複雑な保険にして、分かりにくくしがち。
[生体] 掛金の大部分が還元される助け合いの保険になる。
保険がシンプルで分かりやすくなる。

消費
[資本]  自社の商品を消費してもらうことが必要。
社会全体では消費を喚起しないと景気が良くならないが、個人や家庭レベルでは消費を控えることが必要。
そのため、個人レベルで好ましいことが、社会全体では好ましくないという合成の誤謬が生じる。
[生体]  あえて消費を喚起する必要はない。
無駄な消費を減らすことが個人にとっても、社会にとっても好ましく、環境にも人にも優しく、そこに矛盾はない。

技術革新
[資本]  他社との競争で技術革新にしのぎを削り、技術革新に払われる努力が大きい。
企業間の競争なので、優れた技術を公開することはないし、コストをかけてそれを保護する必要がある。
ソフトウェアでいうならば、クローズドソース(一般のメーカー製有料ソフト)での開発に似ている。
[生体]  無理に技術革新をして企業が生き残らなければならないという切迫感はないので、資本主義に劣るかもしれない。
だが逆に、企業間の競争がないので、優れた技術を共有し、より素晴らしいものを創り出せる可能性が広がる。
ソフトウェアでいうならば、オープンソースでの開発に似ている。(Linuxなどのような自由度がある。)

犯罪
[資本]  過度な金銭欲による犯罪や貧困が引き金となる犯罪が多発し、それを抑止する費用も膨大となる。
[生体]  金銭欲が少なくなるとともに、貧困もなくなり、口座でお金の流れがトレーサブル(追跡可能)なので、犯罪が起きにくい。

失業・雇用
[資本]  失業者は生活が成り立たなくなるので、失業率が高いことが問題となる。
技術革新、機械化、効率化すれば社会全体で必要な仕事量が減るのは当然だが、それが失業率を高める。
大企業の倒産を税金で穴埋めしたり、衰退産業を保護したりする必要がある。
職にしがみつく。そのため、不正を告発できなくなりがち。人事権者が力を持つ。
[生体]  失業しても生活できるので、失業率が高いことは問題とならない。
洗濯機、掃除機、炊飯器、電子レンジなどで家事労働が減ることにより、生活にゆとりができるのと同じ効果が社会でも得られる。
あえて社会に不要となった企業(役割を終えた企業、衰退産業)を保護する必要はない。
逆に、採算が取れなくても社会に必要な企業は税などで援助する。

経済的弱者支援
[資本]  働いていても低賃金のため、生活保護受給者よりも低所得な人も珍しくなく、生活が困難。
生活保護受給者はその立場を守ろうとし、そこに多大な税金が投入される。
[生体]  ベーシックインカムで最低限の生活ができ、働いた分だけ収入が加算されるので、不公平感がほとんどない。


[資本]  税が多岐に渡り、税率の仕組みや課税方法も複雑。
消費税、所得税、法人税、贈与税、関税、自動車重量税、石油税、酒税など様々な税があり、それを管轄する役所や団体に利権が生じ、それに多くの利害関係者が群がる。
申告が適切かどうか調査したり、徴収するための人件費が膨大となる。
脱税しやすく、それを暴くのに莫大な費用と手間がかかる。
消費税を上げるとなると、莫大なコストがかかる。他の税の税率変更も手間とコストがかかる。
税を公正に申告するという企業にとって副次的な労務にも、経理の手間や税理士との契約など無駄が多い。
税制が複雑で、節税のために、労働時間を調整したり、収入額を調整したりで、ややこしい。
[生体]  税にあたるものは、毎月の通貨の減価分と貯蓄の上限額を超えた分のみで非常にシンプルで、分かりやすい。
徴収も自動化されるので、人件費もかからず、不正もしにくく、課税が公平である。
宗教法人の税制優遇もなく公平に税の徴収ができる。
税率は簡単に微調整できるので、プライマリーバランス(基礎的財政収支)の均衡は容易である。

通貨の形態
[資本]  莫大な印刷費用、鋳造費用がかかり、人件費も資源も無駄。
口座も複数持つことができ、複数の財布、金庫の現金、電子マネーといったように、本人であっても捕捉が難しい。
詐欺や盗難にもあいやすく、それを防ぐ手間やコストが膨大になる。
[生体]  ネット上(クラウド)に情報が保存されるので、サーバーの維持費のみのため、非常に低コストで運用が可能。
それが唯一の口座なので、貯蓄高は一目瞭然。
個人と結びついた1つの電子口座のみで管理されるので、シンプルで、詐欺にあったとしても、お金の流れがトレーサブル(追尾可能)なので、詐欺や盗難といった犯罪は起こりにくい。
ネット上の口座なので、個人間の取引はPCもしくは小型端末を利用することにより、容易に可能となる。小型端末は全国民に配布する必要はなく、スマートフォンのアプリとして存在すればよく、スマートフォンを持たない人にのみ配布すればいいので、利便性も向上し、通貨の印刷費用よりもコストは低くなる。
情報の一元管理により、ネットの決済も非常に簡単で、いちいち名前や住所を打ち込む手間が省ける。

アーキテクチャ(Architecture, 構造)
[資本]  市場原理だけではうまくいかないため、様々な修正が行われている。そのため非常に複雑。
複雑なことも原因となり、社会に寄生して、税を食いつぶす人が多い。
経済政策の議論をしても、経済学者によってもまちまちで、国民どころか政治家もどう判断していいか分からない。
[生体]  非常にシンプル。
バイオミメティックスという基本に立ち返れば、概ね同じ意見に集約でき、しかもそれがうまくいくことが期待できる。
法律もシンプルになることが予想される。

コマーシャル、商業広告
[資本]  自社の利益のためのCMなので、利益率の高い企業、商品のCMばかり流され、うんざりする。
その高価なCM料が商品代金に上乗せされる。
独占的な一部の大手広告代理店の意向が働く場合など、資本主義社会の弊害があらわれる。
画期的なアイディアや製品も広まらず埋もれやすい。
[生体]  有益な情報が優先的に流されるので、CMが役に立つ。
情報の一元化が進み、職を探すにも、店を探すにも、いろいろと探す手間と時間が省ける。
パチンコのCMや消費者金融のCMなど見たくないCMを見なくてよくなる。
新製品や新しいアイディアなどは所定の手数料を支払えば必ず審査され、有益であると認められれば無料で広く広告される。

借金
[資本]  借金に利子をつけて返却しなければならず、借金が雪だるま式に増える場合が少なくない。
商品代金に借金の利息分を上乗せせざる得ないため、結局は消費者全体で金融業者を養っているという構図。
自殺者の全てが経済的理由ではないが、自殺者は毎年3万人(東日本大震災の死者よりも多い)を超える。
自己破産する人も多く、結局はその分は薄く広く全国民が負担していることになる。
[生体]  社会に必要な製品を生み出すためのものであれば、社会全体でその費用を負担してもよいという考え方。
自殺者が激減することが予想される。
ベーシックインカムを担保として貸与したり、それまでの累計オーバーフロー額以内で貸し出すのを許可するというアイディアもある。

経済成長
[資本]  経済成長のノルマに縛られ、毎年経済成長が必要だと、政治家も評論家も煽る。
経済成長のノルマは資本主義を続けている限り永遠に続く。
物を大切にして倹約することが美徳ではなく、経済の発展を妨げるというように、道徳と経済の矛盾がある。
[生体]  利子という仕組みがないため、一旦安定期に入れば、経済成長は必要ない。
それは人体のシステムを見れば明らかで、成人して以降は細胞数も増えない。
物を大切にして倹約しても、きちんと経済が回っていく。そこに矛盾はない。

少子化
[資本]  少子化を食い止めないと社会保障制度が破綻する。
主として男性の場合、社会に貢献的な仕事をしていても、収入が低ければ結婚しにくい傾向にある。
例えば、一生懸命仕事をしている介護職の男性は結婚できないが、大した仕事もなく暇にしている公務員は結婚できるといった、収入でしか男性を選ばない女性が少子化の元凶のひとつ。
[生体]  少子化を食い止めなくても、社会保障制度は破綻しない。
職業や年収が結婚を決める主な要因とはなりにくくなり、出生率も増加すると予想される。

お金持ち
[資本]  社会に対しての貢献度の大きさと、その人の裕福さにはそれほど関係がない。
社会に貢献している分以上に、社会からお金という見返りを多く受けている場合がほとんど。
多く納税していると威張るが、それは本来受け取るに値する分以上に受け取っているから。それに、社会全体ではさほど変わらない。それを考慮すると多くの金持ちは社会に寄生していると言える。
[生体]  お金をたくさん持っている人は社会貢献度の高い人。
口座に記録が残る納税額の多い人がより社会に貢献した人。